掃き溜めのコルクボード

「好き」を言葉に

✝︎Fanatic狂宴祭第2.25章ライブレポ ―ステージが日常から遠ざかるこの頃―

 

2021年8月28日、横浜ブロンズMM。

 

✝︎Fanaticの狂宴祭第3章は第2.25章になった。どういう事かというと、開演数時間前にバンドメンバーの1人が熱中症でぶっ倒れた。(そのためにオケライブ変更となった)

 

結論、今回のライブはファン視点からするとよかったんだが、ライブとしての完成度を考えると良くはなかった。

ただ、トラブル対処やタラチオさんの新曲公開、ボーカル2人による黙示的殉教............etc.を考えれば、あくまで僕からするとすげえいいライブだった。

 

狂宴祭第2.25章、幕開け

 

おおよそ18時頃、アクシデントでかなり押してしまっていたが無事にライブは行われた。

 

新衣装をまとった水槽さんがステージに立ち、聖少女症候群のオケが流れる。

始め、水槽さんの表情が少し硬かったけれど次第に笑顔が増えていて、歌も安定して上手かった。

 

壇上から水槽さんが去り、交代にタラチオさんが登場。黙示的殉教が流れる。

不思議と身体が覚えているもので、曲が始まった途端にハチャメチャに身体が動いた。腕が上がったし、頭も振った。ステージのタラチオさんは変わらず格好良かった。

 

MCで、今回のライブの注釈として「振替は今回のチケットで入れる」「今回は2.25章くらいに思ってて欲しい」と伝えられてから、引き続き歌へ。

 

サディスティック

 

新曲「サディスティック」は、エロティックで落ち着いたビートの曲なのだが、安定でビブラートが良い。

タラチオさん曰く、「オーダーしてる曲が来るまでにきた謎曲」「俺自身はこういうふうに思ってないです」だそう。

個人的な感想、曲としては悪くないのだけれどイマイチタラチオさんにどハマりしてる曲ではないな、という印象。

 

一錠

 

聞くたびに泣いてるし、このためにライブへ来たと言っても過言ではない。のだが、水槽さんもタラチオさんも歌がうめえ............。

水槽さんは、生で動画同様のボーカルが出てる時点ですげえし、タラチオさんはハモリとメインパートでボーカルの高音と低音の振り幅がしっかりしてる。

(ただ、タラチオさんのボーカル、死にそうにないんだよなあ........。生だとより一層生気が強い。)

 

バットトリップ

 

タラチオさんの初公開新曲。

タラチオさんが自らオーダーした暴れ曲。「ワンマンでやりたいと思ってる」と言ってくれた時、言いようのない安心感を抱いた。

アニソンで起用されていてもおかしくないような光属性でノリのいい曲。("year"部分、フェスでコーレスやると楽しそう。)

これは推測だけれど、コロナ明けを見据えてオーダーした希望の曲なのかな、と思案。

明らかに、「ここコーレス想定だよな」というフレーズがサビであったのと、「遠くでいても笑ってて」(曖昧記憶)というような、今ライブで会いにくい環境を示唆する歌詞があったからそう思っただけなのだけれど。もしこの答えが合っていたら、以前のライブを望んでいてくれているのなら嬉しい。

 

このさよならに愛をこめて

 

水槽さん曰く、「「このさよならに愛をこめて」は✝︎Fanaticの初投稿動画だから、最後に持ってくるとスッキリする。このわがままだけはいつも聞いてもらっています。」だそう。

水槽さんが歌う曲の中でも三本指に入るくらい好きかもしれない、バンドサウンドだけれど心をじわりと侵食する楽曲。

脆く崩れそうな曲なのだけれども、サウンドの疾走感と芯のある水槽さんのボーカルがマッチしててずっと効いていたくなる。ノっているときも音に揺蕩う心地よさがあった。

 

黙示的殉教(タラチオ、水槽ボーカル)

 

ラストの曲何にする?談議のときに、水槽さんの「ハモリできるよ」発言のおかげで2人で歌ってくれた最高のトリ。

タラチオさんがAメロ終わりに「ハモリうまっ」って笑っちゃってたレベルで上手かった。

なかなかに冒涜的な暴れ曲なのだけれど、水槽さんのボーカルだと品格があった。さすが歌姫《ディーヴァ》。(今後のライブの定番にして欲しい)。

タラチオさんの歌は、言わずもがな上手かったしロングトーンのビブラートが意味不明なくらい美しかった。

 

日常から遠ざかる音楽、離れていくライブハウス

 

ライブを通して思ったこと、感じたことが2つある。

 

1つは、ライブそのものが現実から遠ざかってしまったこと。

 

このご時世、ライブが遠ざかってからそろそろ2年くらいになるんじゃなかろうか。

人によっては生きがいと言ってもいいかもしれない、それくらいの存在が消失してしまった寂しさは未だに拭いきれない。

開演直後は、客(自分含め)も演者もノリきれてなかったし、ライブの熱狂を忘れてしまっているように感じた。

 

もう1つは、今回のライブを評価するのは難しいということ。

 

アクシデントによるバンドからオケに変更、開場&開演時間の押し、ライブ時間の短さ、と諸々気になる点は多分にある。

(だからこそ、今回はフリーライブと同じ定義づけになっているのだろう。)

 

MCでの発言。「最初のオーダーと違うわけじゃん。バンドからオケになって」「少しでも得るものがあって欲しい」。

 

おそらく「お金を払ってもらえる"コンテンツ"として仕上げられない、けれど気持ちとして何かしらは持ち帰って欲しい」というところだとは思う。

もちろん、プロとしてアーティストとして「それってどうなの?」となる所なのだけれど、そこまでシビアになれない。直前まで、変更点のたまに四苦八苦していた事も汲み取れてしまうから。

今回、オケに変更になったため急いで動画になっていない楽曲のオケ動画を編集していたであろう事を感じ取ってしまっているから。

 

正直、✝︎Fanaticはこれまでのライブでも甘い部分はあったし、クリエイティブとしての完成度もあまり高くはない。

それでも、タラチオさん水槽さんのボーカルに価値を感じるし、純粋に曲がいいからライブに行こうと思える、それだけの価値がある。

今回に関してはアクシデントによるネガ部分な訳で、対処の仕方も気持ちが伝わってくるだけのものであるから飲み込めるレベルだとは思う。ただ、今回のライブをどう取るかは完全にその人次第になるだろう。

 

 

 

そして、ここからはすげえ個人的な話。

 

告知見た時、どうしても行きたくて6連勤確定を呑んで28日を勝ち取った。

それでも、当日のモチベーション的に行くかどうかギリギリまで悩んだ。

推すことを辞めるとまではいかないまでも、自分のなかで胸張って「好き」と言えるか自信はなかったから。

 

ただ、今回のライブは行くだけの価値があった。すげえ良かった。

やっぱり歌が好きだった。タラチオさんが好きだった。

 

次のライブがいつかは分からないけど、それでもまたステージで歌う彼が見れますように。